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錦織圭の今季前半。過去5年を比べてわかる
「クレー」での急成長 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 その訪問者の身体を見るなり、「臀部が弱い」と指摘した慧眼(けいがん)の持ち主の指導を受け、錦織は臀部強化のみならず、大きな筋肉から動かす効率のよい身体の使い方も体得。そうして迎えた翌年1月の全豪オープンでは、酷暑のなかシングルス5試合、ミックスダブルス2試合をケガなく戦い抜き、「こんなにすぐに成果が出るなんて自分でもびっくり」と、嬉しい驚きに顔をほころばせていた。

 今回もオオハシに帯同してもらい、遠征中にもトレーニグ指導を受けた効果を、錦織は、「単純にケガが減った。すごく身体がフレッシュな状態に保てている」と説明する。最大の成果が発揮されるのは「2~3年後が目安」ではあるが、「この1年じっくり続けて、大会中にもやれることを少しずつ積み重ねていく」心積もりだ。

 そのように、シーズン後半戦に向けて体力面の強化を図ると同時に、成績面で求められるのが、今後のグランドスラムやマスターズでも「ベスト8以上」に勝ち進むことだろう。

 チャン・コーチは、自身の選手時代の経験を踏まえ、「準々決勝まで行く力があれば、それは準決勝や決勝を勝つ力もあるということ」と、ベスト8に1本のラインを引く。そのうえで、「ここまでくれば、1位を倒すのはもうひと息。ローマでの(ノバク・)ジョコビッチ戦や、バロセロナの(ラファエル・)ナダル戦も、本当に小さなことが勝敗を分けた。毎回ジョコビッチに2-6、2-6で負けていたら焦りも出てくるが、確実に近づいている」と、特にクレーシーズンでの愛弟子の戦いに、熱い手応えを感じている様子だ。

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