2016.04.03

決勝の相手・ジョコビッチ分析。
錦織圭の勝機は「第1セット」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

 人は常に、新たな"個性"の参入や、新鮮な"話題"を求めに走るものなのだろう――。

 マイアミ・オープン初参戦にして準決勝へと駒を進めた20歳のニック・キリオス(オーストラリア)は、その意味で多くの注目を集めた選手だ。ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が2時間5分の熱戦の末、ひと足先に決勝の席を確保した後の会見でのこと。

「パーフェクト」な内容で成長著しいニック・キリオスを倒した錦織圭「キリオスと決勝で戦う場合について話してほしい」

 そう問われた世界1位は、台頭著しい20歳の才能や潜在能力についてひと通り語った後、表情を引き締め、早計な見解をいさめるかのように、こう続けた。

「僕が決勝でキリオスと対戦することについて語るのは、フェアではない。なぜなら彼は、準決勝でニシコリと対戦しなくてはいけないからだ。ニシコリは経験豊かで、今の地位をすでに確立させており、このような修羅場を幾度もくぐり抜けてきた選手だ」

 そのジョコビッチの会見から、数時間後――。錦織圭は、ジョコビッチの見立てが正しかったことを、コート上で証明していた。時速210kmを計測するキリオスの高速サーブを、いともたやすく打ち返す。軽く、しかしラケットを「最後までしっかり振り切り」ボールを打ち抜くと、球は弾かれたように空を裂き、矢継ぎ早に相手コートのコーナーへと刺さる。