ミロシュ・ラオニッチ、
絶好調の秘密は「新レジェンドコーチ」 (4ページ目)
可愛い盛りの子どもたちがいるため、コーチ業に難色を示していたモヤの心を変えたのは、「ミロシュのテニスにかける真摯な姿勢」、そして、「彼には大きなポテンシャルがある。だが、まだ潜在能力を100%発揮できていない」との感触。その秘めた才能を、あるいは自分なら最大限に引き出せるかもしれないとの予感が、家族想いな三児の父親を、ふたたび指導者としてコートに立たせた要因だ。
「あなたのプレースタイルは、ミロシュとは大きく異なる。そのため、アドバイスが難しかったりはしないのか?」
単純なるその問いを、指導者として高い手腕を発揮している元世界1位は一蹴した。
「たしかに僕のプレーは、ミロシュと違う。だが、僕は現役時代から多くの戦術を考え、そのなかから自分の能力に見合うものを選んできたんだ。だから、決して僕は、自分がプレーしてきた方法でしかテニスを知らないわけではない。
ミロシュはフォアがいいし、あの身長だったらネットプレーがもっとできるはずだと確信していた。だから、もっとネットに出ていくべきだと勇気づけた」
それが、モヤ・コーチが"新弟子"に入れたメスの第一刀。ネットプレーを念頭に入れ、それを効果的に使うにはどうすればよいかを考えたとき、「ボディサーブの多用」という選択肢も必然的に浮上する。
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