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「苦手」なコートで「苦手」なイズナーを
撃破した錦織圭の戦略 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

「メンタル的には、最悪でした」

 のちに錦織は、このときの心境を素直に告白した。

「落とし方も悪かったし、相手が良かったというより、自分のミスがほとんどだった」なか、第2セットに挑む錦織が何より意識したのは、「ミスを修正する」ことである。そこで、攻めたい気持ちをグッと抑え、スピンをかけたフォアを多く打ち、まずはボールを相手コートに返すことを心がけた。

 錦織がもっとも得意とする、早いタイミングで攻めるテニスではない。だが、平面のみならず、高さも巧みに用いる錦織の攻めは、徐々にイズナーのミスを誘っていった。そのようなプレーのヒントを錦織は、実は2週間前のデビスカップ――アンディ・マリー戦で掴みかけていたという。ペースを落とした打球でラリー戦を制御する術(すべ)を、彼は苦手とするインディアンウェルズのコートで、自分のモノにしつつあった。

 一方、リターンに関しては下がらず、身体をボールにぶつけるように踏み込み、跳ね際を叩くことで次第に相手にプレッシャーを掛けていく。互いに1本も相手にブレークチャンスを与えぬままもつれこんだタイブレークでは、身体ごとボールにぶつかるように飛びつく必死のリターンで、相手のミスを誘うことにも成功。序盤で得たこのリードを守り切った錦織がタイブレークを制し、第2セットを奪い返した。

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