シャラポワ戦も。全豪OPで日本女子テニス界が放つ「3本の矢」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

 その土居と奈良を「まだ遠い存在」だと言うのは、3歳年下の日比野である。日比野にとって土居たちは、ライバルと呼ぶには距離があり、代わって刺激を受けてきたのは、同じ1994年生まれで全日本選手権のタイトルも持つ穂積絵莉(190位)や、19歳のころからWTAツアーにも出場してきた尾崎里沙(151位)だ。

 常に自分の先を行く同期たちの背を追いながら、やがては追い越し、気づけば彼女は「遠い存在」だった土居や奈良にもランキング上は追いついた。それでも依然、日比野は土居たちを「自分たちを引っ張ってくれる先輩」として仰ぎ見る。最近では同じ大会に出場し、ともに練習する機会も増えた。そうして改めて気づいたのは、先輩たちが「練習や試合への取り組みなど、ひとつひとつがしっかりしている」ことである。

「何をもって、追いついたと言うかわからないけれど......追いついていきたい」

 意志の強さを響かせる声には、新たな目的意識が込められていた。

 そのように何もかもが新しく、日々が学びの連続である日比野にとって、初めて出場するグランドスラムの大舞台は、間違いなく特別なものになるだろう。何しろ彼女が1回戦で対戦するのは、テニス界きってのスーパースターのマリア・シャラポワ(ロシア)。日比野が「テニスをするきっかけになった選手」とまで言う、憧れの存在だ。

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