全米オープン直前「ジョコビッチ包囲網」で勢力図に変化あり (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 しかしこの1年ほどで、フェデラーは明らかに弱点を克服しつつある。自らも認める改善の要因とは、何なのか? フェデラーは答える。

「新コーチのステファン(・エドバーグ)の助言もあるが、バックハンドに関しては、ラケットを変えたことが一番大きいと思う」

 それはフェデラーが、昨年夏に手にした向上へのカギ。さまざまなモデルを試し、思考錯誤した末にたどり着いた、従来のものより打球面の大きなラケットである。

 総面積にすれば、タバコの箱ほどの小さな変化――。しかしその一片が、彼のテニスをさらなる高みへと引き上げた。再び、本人の言葉を引用する。

「スイートスポットが大きくなったこのラケットに変えたころから、結果が出始めた。昔の面の小さなラケットでは、バックハンドでのシャンク(あたりそこないのショット)が多かったんだ。ただ、ラケットを変える上で一番悩んだのが、スライスの感覚。スライスは、以前のラケットで僕が最も得意としたショットだったし、あのラケットが手に馴染んで打ちやすかった。でも、新しいラケットでもスライスを打つことに慣れてきた。そして今では、バックのシャンクはほとんどなくなり、スイートスポットでクリーンに打てるようになってきたんだ」

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