今季、棄権ゼロ。錦織圭が語る「ケガに強くなった要因」 (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 また、2013年シーズンからフルタイムでトレーナーを帯同させ、常に身体のケアをしていることも大きいようだ。錦織も、「少しでも痛みが出た時は、すぐにケアしてもらっています」と語る。ひとつのケガを抱えたまま試合に出ることは、負傷個所をかばい、別の部位に負荷を掛けることでもある。だからこそ故障前の対処は重要であり、同時に錦織たちは、負傷や筋力の弱い個所をかばう代償動作をなくすことにも時間を掛け取り組んできた。

 この『棄権ゼロ』の要因を問われると、錦織本人は「なんですかねぇ……」と、うなるようにつぶやき、しばし考えを巡らせ、そしてうなずくように言葉を続けた。

「今年だけの結果ではなく、この2~3年しっかりトレーニングした結果として、今があると思います。リハビリなど細かいこともやっているのと、日々の積み重ねかと」

 それが、彼が知る真理である。

 かつては憧れ、その後は苦しめられてきた古都の地に、錦織は今、第5シードとして立ち、その責務を果たすかのように勝利をつかみ取った。

 それは「ローマは一日にして成らず」のごとく、長き歳月を掛けながら、積み重ねてきた地道な努力の証(あかし)である。

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