今季、棄権ゼロ。錦織圭が語る「ケガに強くなった要因」 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 このローマ大会に出場したことで、今季の錦織が密かに更新している記録がある。それはシーズン中盤戦のここまで、試合の途中棄権や、大会欠場が一切ないということだ。加えて、試合中のメディカルタイムアウトもゼロ。これは、昨年の同時期の状況と比べると、驚異的な成長幅として、ことさらくっきり浮きあがる。

 昨年の錦織は、今年と同様に2月のメンフィス大会で優勝するも、その翌週のデルレイビーチでは2回戦で棄権。翌週に出場予定だったアカプルコ大会も欠場した。その後、3月のマイアミオープンではベスト4進出の快進撃を見せるも、股関節のケガのため準決勝は無念の棄権。そして前述したように、5月のマドリードオープンでは決勝を途中棄権し、翌週のローマは欠場を強いられた。

 ちなみに今年のマドリードを終えた時点で、錦織の戦績は29勝6敗。試合数は35であり、これはジョコビッチ、ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、アンディ・マリー(イギリス)の「ビッグ4」と比べても、マリー(30勝5敗)と並んで最多の数字である。

 今季の『棄権ゼロ』の背景には複合的な要因があり、単純に「錦織がケガに強くなった」とひと言で済ませられるものではないだろう。例えば出場大会のスケジュールにしても、今年は最初からデルレイビーチを入れていない。今の錦織は、出場したすべての大会で上位進出が想定されるため、可能な限り2週連続の出場は回避しているのだ。

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