神尾米が語る2014年「今季の伊達さんはすごく明るかった」 (2ページ目)

  • 内田暁●構成 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 ここ数年で、奈良選手は武器である、そのフットワークを変えてきました。以前は細かいステップでしたが、大きなステップに変えるようにコーチの原田夏希さんから指導されたと聞いたことがあります。ただ、最初のころは大きなステップを試しても、うまくいかなかったと言っていました。大きく動こうとすると、バランスが崩れてしまったり、スタンスの広さに耐えられる筋力が足りなかったためでしょう。しかし、フィジカルを鍛えたことで、大きなステップができるようになったと思います。

 大きなステップに変えた理由のひとつは、ボールに追いついたあとに細かなステップを入れてしまうことで、ラケットの出が遅くなっていたからではないでしょうか。私もジュニアの子どもたちに教えるとき、そこは注意している点です。せっかく良いスピードで走ってボールに追いついても、最後にボールとの距離を調整するためにチョコチョコと細かいステップを入れてしまうと、それまでのスピードを殺してしまいます。そうすると、ラケットの出は遅くなるし、走ったスピードを生かしたランニングショットが打てなくなるんですね。

 ただ、細かいステップが常に悪いというわけではありません。ボールが身体の正面にきたときは、細かくステップを踏んで微調整することも重要です。最近の奈良選手は、その使い分けが状況に応じてうまくできるようになったのではないでしょうか。

 また、奈良選手はコートの中に入っていくときのフットワークも良くなったと思います。ラリーで相手の球威に押されてしまうと、スプリットステップ(相手がボールを打つ瞬間に両足で軽くジャンプして次の動きに備えるステップ)の次の一歩が、後ろに下がってしまいがちになります。しかし、現在の奈良選手は、スプリットステップの後の一歩が、斜め前に出ているのです。その結果、ボールの落下点に向かうスピードが速くなりました。

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