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神尾米が語る「クルム伊達が見せたダブルスの極意」 (3ページ目)

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva photo by AFLO

立ち上がりは狙い通りだった全米オープン準決勝

 全米オープンでは、そのような伊達さんのダブルスの能力が十分に発揮されていました。敗れた準決勝にしても、試合前にはパートナーのバルボラ・ストリコバ(チェコ/28歳)とコーチたちとの4人で、しっかり作戦を話し合っていたようです。特に、対戦相手のエカテリーナ・マカロワ(ロシア/26歳)は正面のボールに弱いので、まずはボレーを彼女の正面に打ってから、ロブを上げようというジェスチャーを何度も交わしていました。

 その作戦が、試合序盤はすごくうまくいっていました。それで5-2までリードしたのですが、徐々にマカロワが馴れてきたんでしょうね。マカロワの動きが良くなり、ロブにも対応できるようになると、他のプレイも良くなって追い上げられてしまった。そこが惜しかったです(結果は5-7、3-6で敗退)。

 あのまま第1セットを取っていたとしても、恐らく第2セットでは相手も巻き返してきたと思います。ただそれでも、もし第1セットを取っていれば、第2セットの終盤で相手がプレッシャーを感じた可能性はあったのではないでしょうか。伊達さんたちもゴールラインが見えたら、勝負をかけて集中力を上げられたと思いますので。

 今回の伊達さんの全米OPベスト4を見て、さらに上を狙えると確信しました。もちろんそれは、パートナー次第でもあります。伊達さんに向いているパートナーは、ある意味、伊達さんより強気な人ではないでしょうか。今回のストリコバもそうだったのですが、サーブの時にコースの指示などを出していたのは、ストリコバでしたね。そのように、伊達さん相手にもどんどん指示を出せて、強気で勝負してくれる人が合っているのではないかと思います。

ダブルスのクルム伊達から学ぶもの

 今の伊達さんを見ていると、スマッシュとボレーのキレは、今が最高なのではと感じます。もちろん、伊達さんは昔からダブルスも得意でしたし、特に高校時代(園田学園)は前衛でボレーを決める姿が印象に残っています。ただ、タッチなどは、今のほうが確実に上だと思います。

 今大会でも、ファーストボレーが素晴らしかった。ファーストボレーで大切なのは、相手が返しにくいボールを打つことです。スライス回転をしっかり掛けて相手の足もとを狙ったり、深いところに打っていく。あれを打たれたら、相手は高いボールを返すしかなくなる……そういうボレーを打っていました。

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