【テニス】全米OP直前。得意のハードコートに誓う「錦織圭の野望」 (3ページ目)

  • 内田暁●文 text by Uchida Akatsuki photo by Getty Images

 そのフェデラーとの再戦への切望を、錦織は隠そうとしなかった。普段はドローが決まった後も、「1試合ずつ戦うだけなので、先の方は見ていない」とうそぶく彼が、今回ばかりは、「フェデラーとは、もちろんやりたい。前回はクレーで勝っているが、今回はサーフェスも環境もまったく違う。フェデラーに勝つというのは目標なので、戦えるところまでぜひ行きたい」と、口にしたのだ。

 前回の対戦では勝ったものの、それはフェデラーが最も苦手とするクレーでのこと。お互いが最も得意とする戦場で、持てるすべての力をフェデラーにぶつけたい……。そのような熱を、彼は公の場で露(あらわ)にした。それは、極めて稀(まれ)なことである。

「目標はベスト8以上。得意なUSオープンでしっかり自分のテニスができれば、結果も残せると思う」

 フェデラーが門前で待ち構えるベスト8の扉をこじ開けるのは、文字通り、ハード=厳しい戦いだろう。だが、「ずっと昔から目指して背を見てきた選手を倒したい」という、燃えるような意志、そして過去の実績と厳しい練習に裏打ちされた確信が、錦織圭に前を向かせる。

 それは、いかなる逆境やチャレンジにも揺るがぬほどに、ハード=強固な覚悟である。

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