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高校ラグビー花園連覇の桐蔭学園は苦戦続きからどうやってV字回復したのか? (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【スーパーエースがいたわけではない】

「大阪桐蔭さんがいたから、ここまで来られた」

 キャプテンの申はこう語る。今季2度も苦汁を飲まされたライバルの存在があったからこそ、高校日本一の座を掴むことができたのだという。「昨季のチームが強くて、今季のチームは弱くて勝てないと言われて、本当にうまくいかないことばっかりでした。ですが、自分たちも花園で優勝することを信じて練習を積み上げてきたので、最後に優勝できて本当によかった」。

 大阪出身の丹波は、大阪桐蔭などに進んだ中学時代の友人を倒すべく、憧れの桐蔭学園に進学した。「昨季はスタンドで優勝を見ていましたが、自分たちの代で優勝したうれしさは格がぜんぜん違います。桐蔭学園はみんなでひとつのことができるチームです」。

 中学時代、福岡県選抜に選ばれなかった後藤は、夢を叶えるために神奈川の桐蔭学園を選んだ。「花園決勝で大阪勢と対戦して(桐蔭学園が)勝てたのは自分たちの代が初なので、新たな歴史を作れたという意味でもうれしい!」。

 高校3年生の彼らは卒業後、申は慶應義塾大、丹羽は同志社大、後藤は明治大に進学する予定だ。

 令和になって6シーズンで4度目の優勝を遂げた桐蔭学園。まさに「令和の常勝軍団」だ。しかし、2019年度〜2020年度に連覇した時のHO/No.8佐藤健次(早稲田大4年)やFB矢崎由高(早稲田大2年)のようなスーパーエースが今季のチームにいたわけではない。

「こんなに成長したチームは今までなかった」

 藤原監督が振り返ったとおり、今季の桐蔭学園は敗戦を糧(かて)にチーム一丸となり、花園優勝まで右肩上がりの成長曲線を見事に描いてみせた。

著者プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

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