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高校ラグビー花園連覇の桐蔭学園は苦戦続きからどうやってV字回復したのか? (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【世界の潮流を読んだ練習の成果】

 結果の残せなかった桐蔭学園がどのようにしてV字復活し、花園の舞台で大阪桐蔭や國學院栃木といった堅守チームを攻撃力で下していったのか。

 藤原監督は今季のチーム作りにおいて、「昨季はボールを持って突進できる選手がいた。だが今季はいないので、変えなければいけない」と考えたという。そして「攻撃で前進した時はつなごう」と、桐蔭学園の代名詞である継続ラグビーをさらに進化させた。

 かつての桐蔭学園はラックを連取し、相手との我慢比べに勝つラグビーを信条としていた。しかし、2年前から藤原監督はオフロードパスやキックパスといったスキルを使い、判断よくボールをつないでトライまでもっていく練習を重ねてきた。

 その理由を、数多くの日本代表を育てた名将はこう語る。

「ラックで停滞してからでは、そんな簡単に綺麗な形でトライは生まれない。それが世界の潮流なので、『イレギュラーをイレギュラーじゃないようにする』『リスクはリスクじゃない』練習を2年間、ずっと積み重ねてきた」

 昨季よりFWが小柄だったこともあり、よりスキルとフィットネスに活路を見いだしたというわけだ。

 準々決勝の大阪桐蔭戦、7-14とリードされていた桐蔭学園は後半5分にSO丹羽雄丸(3年)のラインブレイクから同点トライを挙げた。自陣からラックとオフロードパスを使って相手ディフェンスを崩し、5対3という数的優位を作ったからこそ生まれたトライだった。

 準決勝の國學院栃木戦では、SH後藤快斗(3年)が相手ディフェンスの隙を突くトライを挙げた。これもスキルを活かしたハーフ団の活躍が光ったシーンだ。藤原監督は「今大会はうちの9番(後藤)と10番(丹羽)が一番だった」と目を細める。

 さらに決勝戦でも、今季の桐蔭学園を象徴するトライが生まれる。5-0でリードしていた前半最後の時間帯で、相手キックからボールを継続して自陣から70メートルを8人でつなぎ、最後はWTB西本友哉(2年)がトライを挙げた。オフロードパスを交えた、見事なつなぎだった。

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