ラグビー日本代表にまた一歩近づいた! 早稲田大の107代目キャプテンがジャパンの先輩HOから学んだこと (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【スクラムで完敗した悔しさをバネに】

 しかし試合後、佐藤は反省を口にした。

「この1週間、準備してきたことがまだまだ出せていない。ミスをしてしまうと、次の明治大戦(12月1日・国立)、大学選手権で負ける原因になる」

 この勝利への貪欲さが、早稲田大の強さを支えているのだろう。

 今季の早稲田大の好調を支えているのは、豪華なタレントが揃うBK陣のアタックだけでない。佐々木隆道コーチが指導する組織ディフェンスだ。帝京大にこそ3トライを許したが、早慶戦でも相手を0トライに封じるなど、平均失点は5.5点まで抑えている。

 強力なディフェンスについて、大田尾竜彦監督はこう語る。

「選手たちがディフェンスに対してプライドを持っている。とにかくワークし続けることが浸透していて、トライラインを割らせない気持ちが強く出ている」

 そしてもうひとつ、今季の早稲田大で見過ごせない部分がFWセットプレーのスクラムだ。

 昨年の12月23日、早稲田大は大学選手権・準々決勝で関西王者の京都産業大にスクラムで粉砕されて28-65と大敗。正月越えも叶わず、選手たちは涙を流した。

 寒風が強く吹いていた大阪・ヨドコウ桜スタジアムのピッチ上で、当時3年生だった佐藤は同期のPR亀山昇太郎や門脇浩志と、「次に対戦した時は、絶対にスクラムを押されない」と固く誓ったという。

 悔しい気持ちを切り替え、新チームとなった2024年。早稲田大は仲谷聖史コーチの下、スクラムを組み続けてきた。

「僕が一番がんばらないといけないと思ってやってきた。昨季から特別なことはしていないが、今季はスクラムのレベルが高くなっている。練習ではBチームが勝つ週もあるので、日々の切磋琢磨が成長につながっている」(佐藤)

 もちろんFW全体だけでなく、No.8から転向して3年目──佐藤個人のHOとしての成長も目を見張るものがある。

関係者に聞くと、昨季までの佐藤は自分でどうにかしようと、スクラムの全体のバランスを崩してしまっていた時もあったという。しかし今季、大学ラグビー以外でも刺激を受け、HOとして多くの経験を積んだ。

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