ラグビー日本代表・齋藤直人が欧州最強クラブへ移籍 南半球を選ばなかった理由 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【三笘薫と同じマネジメント会社と契約】

 しかし、日本代表は前半から苦境に立たされる。前半20分にFL下川甲嗣(東京サンゴリアス)が危険なプレーを犯し、レッドカードを受けて退場してしまったのだ。それからの60分間、日本代表はひとり少ない数的不利な状況で戦うことになる。その結果、セットプレーの強いジョージア代表に徐々にペースを握られてしまい、前半を13-18で折り返した。

「前半、頑張れば、後半、自分たちの時間帯がくる」

 そう信じて戦い続けた齋藤は、後半24分にチャンスを掴む。連続攻撃を見せたあと、齋藤はWTB長田智希(埼玉ワイルドナイツ)のトライを再びアシストして、23-18と逆転に成功。会場は沸き立ち、大いに盛り上がりを見せた。しかし後半32分、もうひとりFWをイエローカード(10分間の退場)で欠き、最後はトライを許して23-25で敗れた。

 結果としては悔しい逆転負け。ただ、リーダー陣のひとりである齋藤は「イングランド代表戦に比べれば間違いなく成長している」と、あくまで前向きだ。ジョージア代表は先発15人中9人がフランスリーグでプレーしており、齋藤にとって世界トップのクラブでプレーするための試金石になったのは間違いない。

 齋藤は神奈川・桐蔭学園時代は高校1年から花園の決勝を経験し、早稲田大学4年では主将として優勝を手にするなど、日本ラグビーの王道を歩むエリートだ。そんな彼は小さい頃から、海外でのプレーを熱望していた。大学3年時に選出された「JAPAN XV」のニュージーランド遠征でスーパーラグビーチームと対戦したことも、その思いをより強くさせたという。

 大学4年の終わりにサンウルブズでプレーし、東京サンゴリアス入社後すぐに日本代表として活動するようになる。そして社会人2年目、齋藤は社員からプロ選手になる決断をした。

 数年前から英語の勉強にも力を入れ、昨年のワールドカップ前には「自分自身のキャリアの幅が広がる可能性」を考慮して、サッカー日本代表MF三笘薫らが所属する会社とのマネジメント契約を発表した。

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