「日本代表が外国人中心になるかもしれない」現役引退した田中史朗が懸念するラグビー界の将来 (2ページ目)

  • 齋藤龍太郎●文 text by Saito Ryutaro

約5分間のラストプレーで見せ場をつくる田中史朗 photo by Tanimoto Yuuri約5分間のラストプレーで見せ場をつくる田中史朗 photo by Tanimoto Yuuriこの記事に関連する写真を見る

【子どもたちにプレーの楽しさを伝えたい】

──田中さんは引退会見で「ラグビーを日本のトップスポーツにしたい」とおっしゃっていました。その第一歩として、グリーンロケッツのアカデミーのコーチとして主に小中学生を対象に指導し、その夢を目指していくことになります。

 もちろんラグビーを広めたいという思いもあるのですが、子どもたちがやりたいことであれば何でもいいと思っていますし、そのなかでラグビーを選んでくれたらうれしいですね。グリーンロケッツのアカデミーなので、選手が実際に教えてあげるなど、できれば子どもたちがプロ意識を持てるような環境を作ってあげたいです。たとえば、スクラムハーフとして(相手の)スペースを空けて抜く、または、僕はそういうタイプではありませんがステップを切ってサイドを抜ける、といったプレーの楽しさを教えてあげたいと考えています。

 また、世界のラグビーの映像を見てほしい、という気持ちもありますね。僕はずっとスーパー12(現スーパーラグビー・パシフィック)のプレー映像を見て、それを練習で試して自分のものにしてきたので、レベルが向上したリーグワンでもいいですし、もっと上のレベルのオールブラックス(ニュージーランド代表)やスプリングボクス(南アフリカ代表)などのチームの映像を見せられる環境を作ってあげてもいいのではないかと思っています。

──引退会見では「将来的には日本代表のヘッドコーチを目指す」とも宣言していましたが、いずれはリーグワンのチームでヘッドコーチを務めることも考えているのでしょうか?

 難しいところです。もちろん考えていないわけではないのですが、どこまでが自分に合っているかという問題もあります。ただ、日本代表のヘッドコーチになるにはそういうレベルの高いカテゴリーでコーチングをしないといけないので、まずアカデミーでコーチングの感覚をつかんで、そこから少しずつレベルアップしていきたいと思っています。

──コーチングと同時に、普及活動も継続されるということですね。

 いろいろやっていきたいです。特にラグビーが普及していない地域、リーグワンの選手があまり行かないところなどで子どもたちが少しでも憧れてくれるような存在でありたいですし、たとえばサインをすることによって子どもたちの夢が広がったらいいなと思っています。

──子ども世代の育成、普及を進めていく必要がある一方で、今の大学生やリーグワンの若手の可能性についてはどう感じていますか?

 いい選手がたくさん出てきています。エディー(・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ)も学生を代表に招集していますし、いい状況ですね。

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