エディー・ジョーンズは方針転換して雷を落とさない「昨今の若手選手は以前のようにはいかない」 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

――ラグビーの普及と、チームを勝たせることの両立は、簡単なことではないと思いますが......。

 すべては勝つことです。現実的には、オールブラックスやフランス代表、イングランド代表のようにプレーしようとしてもジャパンには無理なので、ジャパンはジャパンらしくプレーして勝たないといけない。ジャパンのそもそも生まれ持って備えているラグビーは非常にエキサイティングなものです。でも、うまく戦わないと試合に勝つことはできません。

 ただ2015年W杯と2019年W杯で、それが不可能ではないというのも実証していると思います。2019年W杯では、本当に見ていて大会で一番、ベストなチームが日本代表だったというのは間違いない。それは日本人のラグビーをやっていたからだと思います。今はそこからちょっと外れてしまったので、そこを取り戻したいと思っています。

――だから2023年W杯では強豪国に勝ったのにも関わらず、決勝トーナメントに出場できなかったと感じているのでしょうか?

 それは私のコメントすることじゃないかなと思います。自分がやることは、日本代表を変えていくことだと思っています。

――この4年間、ラグビーファン、スポーツファンは新生エディー・ジャパンのどういったところを楽しみにすればいいでしょうか?

 私たちのラグビーのユニークさです。まずはバランスを取りながら、非常にタレントのある外国人選手と日本人の若手のタレントを伸ばしていく。そして「超速ラグビー」で、ファンの方全員がこの後、どんなラグビーをするのか見るのが待ちきれないようなプレーをしたい。毎回、アタックを畳みかけるジャパニーズのラグビー、日本のラグビーを見せたいと思っています。

■Profile
エディー・ジョーンズ
1960年1月30日生まれ。オーストラリア人の父と広島県にルーツのある母を持つ。ラグビー選手として活躍後、数々の代表、クラブチームを指揮し、2012年にはラグビー日本代表のヘッドコーチに就任。2015年ラグビーワールドカップでは初戦で強豪国の南アフリカと対戦し、見事勝利を収めた。歴史的な勝利は「ブライトンの奇跡」と呼ばれ、社会現象を巻き起こした。その後、イングランド代表、オーストラリア代表を歴任し、2024年から2027年までの4年間、再び日本代表の指揮を執ることとなった。

プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

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