エディー・ジョーンズは方針転換して雷を落とさない「昨今の若手選手は以前のようにはいかない」 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

――かつては、食事中はスマホを禁止したり、ポジション柄、普段あまりしゃべらない選手とご飯を食べさせたり、ホテルでは若手とベテランを同部屋にしたりもしていましたね。

 そうですね。そういったことも少しずつ進めているつもりです。やはり、選手たちがどんどんと混ざりあうことが大事です。日本代表は、どうしても日本人選手と外国人選手がいて、あとは日本人選手の中に先輩、後輩の関係もあるので、すべて打ち壊していきたい。そういったところはフィールドでお互いを信頼するためには大切な要素となっていきます。

――以前、日本だけでなく、世界のラグビー選手たちにあった、「ラグビー愛」を取り戻したいとも話していました。

 それは日本代表にプロが増えたということとは直接、関係はありません。例えば、テニスのロジャー・フェデラーは25歳で成功のキャリアをスタートさせました。そして30歳~32歳の頃にスランプで勝てず、そこからもう一度、トレーニングも変えて、ラケットを変えて、パワーゲームをするようになった。36歳で2度目の最高のシーズン、成績を収めた。それこそがスポーツへの愛だと思います。それを日本代表の選手にも感じてほしい。

 (リーチ)マイケルのように、毎回、毎回、成長のチャンスをうかがってほしい。マイケルは本当に重要な選手です。彼のような選手があと5、6人いてほしい。常に自分のラグビーをいかにベターにできるかを考えながら動ける選手がほしいです。

――昨今は高校、大学、リーグワンのレベルが上がっている一方、実は20年ほど前は3万人を超えていた高校生のラグビー人口が、現在は2万人を切って1万7千人ほどになってしまいました。今後の日本ラグビーを考えると、日本代表が夢を与えるということも大事になってくると思いますが......。

 だからこそ、自分には大きな責任があると自覚しています。3月に、2015年にも訪れた大分の別府の高校にまたうかがったのですが、当時は部員が6人でしたが、2015年、2019年W杯を経て、今は25人まで増えていました。だから、この日本代表のチームが成功すれば、もっともっとラグビーをしたいという子どもたちが増えるというふうに認識しています。

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