ラグビーW杯ライバル分析《前編》 初戦チリの弱点とは? イングランド戦で再び「奇跡」を起こすカギは? (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by AFLO

【エディー解任後のイングランドは下降線?】

 初出場のチリにとって、ワールドカップで失うものは何もない。レモイネHCは「チリのラグビー選手の人生を変えたい。チリという国が世界からリスペクトを受ければ、国内でラグビーを見る目も変えられるはずだ」と意気込んでいる。

 対して日本は、初戦という緊張感もあるだろう。前半は競ったゲームになるのも想定内として考えるべきだ。まずはセットプレーで互角以上に戦い、プレッシャーを与えておきたい。そしてキックをうまく使いながら相手のFWを背走させて疲れさせれば、後半に大きなチャンスへとつながる。

 日本の武器はフィットネスやスピードである。それらを駆使したアタックでトライを重ねていけば、おのずと後半に勝機が見えてくるだろう。理想は4トライ以上を挙げて、勝ち点5を得ておきたい。なぜならば、次の相手が優勝候補の強豪国だからだ。

 チリ戦の1週間後、予選プール2戦目で対戦するのはラグビーの「母国」イングランド。2003年のオーストラリア大会で優勝し、北半球で唯一「ウェブ・エリス・カップ」を掲げたチームだ。この予選プールDにおいて、優勝経験のある唯一のチームでもある。

 イングランド代表は2015年大会、自国開催ながら「予選プール敗退」という屈辱を味わった。そのリベンジを果たすべく、エディー・ジョーンズ前日本代表HCが外国人として初めて指揮官に就いた。

 就任後はテストマッチ18連勝を達成し、さらに2019年大会ではオールブラックスを破って決勝に進出。最後は南アフリカに負けて2度目の優勝はならなかったが、見事な復活を遂げた。

 しかし、その後は再び調子を落としてしまい、昨年末にジョーンズHCが解任。後釜には元イングランド代表でかつて日本代表のFWコーチも務めたスティーブ・ボーズウィックが新指揮官となった。

 今年の欧州6カ国対抗(シックスネーションズ)では、アイルランド、スコットランド、フランスに負けて2勝3敗の4位。さらに夏季のテストマッチでもフィジーに初めて敗れるなど、いまいち調子は上がってこない。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る