李承信は大学中退→バイト生活からラグビー日本代表へ「1ミリも後悔していない」競技人生 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 説田浩之●撮影 photo by Setsuda Hiroyuki

 あの大観衆のなか、そして強いプレッシャーを受けて試合ができたのは、いい経験になりました。パスやキックで自分の役割を果たせたことも、大きな手応えになったと感じています」

── 日本代表の司令塔として自信を持てるようになりましたか?

「テストマッチ で10番を背負った時、リーグワンとは違うプレッシャーや強度を感じました。昨年のテストマッチのなかでは、フランス代表との2戦目(15-20)は結果的に惜しくも負けてしまいましたけど、ゲームコントロールの部分で自信になりました。日本代表の 10番がどういうことを必要としているのか、ちょっとずつ理解できてきました」

── それは具体的には?

「ブラウニー(トニー・ブラウン・コーチ)からは『自分たちのラグビーをしっかり信じ、誰よりも理解し、リードしていくのが10番として一番大事』と常に言われています。

 リーグワンの期間中も、オンラインでブラウニー、松田力也(埼玉ワイルドナイツ)さん、山沢拓也(埼玉ワイルドナイツ)さんと毎週のようにミーティングして『どれだけゲームを予測して次のプレーに動けるか』ということをすごく話していました」

── 大阪朝高時代から帝京大1年生までは「ランに長けた12番」インサイドCTB(センター)という印象が強かったです。

「ずっとCTBでプレーしていて、帝京大学に入ってからも12番でした。なので、10番を本格的にやり始めたのは神戸(スティーラーズ)に入ってからですね」

── どうして10番を専門的にやろうとしたのですか?

「昔から『トップを目指すなら体が小さい(身長176cm)のでCTBは難しい』と思っていました。周囲から『10番をやったほうがいい』とのアドバイスもあったので、社会人になったら10番で勝負しようというプランは決めていました」

── 李選手は大学1年生が終わったあと、中退してニュージーランドに留学しようと決意しました。それはジュニア・ジャパンに選ばれて世界と戦ったことも影響したのですか?

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