日本で才能を開花させた25歳のトライ王。ディラン・ライリーはW杯で「復讐」を成し遂げる (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

【日本で秘めていた才能が開花】

 ライリーはコロナ禍でも日本代表を目指すべく、オーストラリアに帰国することはなかった。その努力を知る日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、まだ代表資格のなかったライリーを2021年6月の日本代表合宿に練習生として招集。「サイズも大きいですし、ランニングゲームにもキッキングゲームにも対応できる」と高く評価しての抜擢だった。

 初めて日本代表合宿に参加したライリーは、その感想をこう述べた。

「日本代表は、想像とはかなり違っていました。自己責任に重きを置いているので、自分もハードワークをしないとやっていけないなと感じました。常に学び続けないといけないですが、トニー・ブラウンコーチからいろんな指導を受けて、さらにアタックでいい判断ができるように伸ばしていきたい」

 2021年10月、日本代表になれる3年居住(現在は5年居住)の条件をクリアし、晴れて桜のジャージーに袖を通せることになった。そして、母国であるオーストラリア代表戦で途中出場して初キャップを獲得。その喜びをライリーはこう語っていた。

「日本代表のラグビースタイル、ハードワークの姿勢などあらゆることを本当に気に入っています。だから、この日本代表の一員になることは本当に心から光栄に思うことですし、このチームのために自分ができる最善の努力をしたい」

 2022年に誕生したリーグワンの初年度。ライリーは15試合に先発してワイルドナイツの優勝に大きく貢献。11トライを挙げて初めてトライ王に輝き、2年連続「ベスト15」にも選出された。紛れもなくリーグを代表するCTBである。

 日本で才能を大きく開花させたライリーについて、ワイルドナイツのディーンズ監督もその活躍ぶりに目を細める。

「日本代表での経験をチームに持ち帰ってくれた。オフロードパスの成功率も高くなっているし、キッキングゲームも上達している。ランニングも常に相手の脅威になっている。成長は著しいし、チームにいい影響を与えている」

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