ラグビー早慶戦は早稲田大が逆転勝利。「深夜まで行なったミーティング」がFW陣の心をひとつにした

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 10点差で迎えた後半、"アカクロ"のFW陣が吠えた──。

 11月23日、東京・秩父宮ラグビー場で関東大学ラグビー対抗戦「早稲田大vs慶應義塾大」が行なわれた。今季はともに4勝1敗で迎えた伝統の「早慶戦」。今年は99回目の対戦でちょうど100周年にあたり、記念すべき一戦となった。

早稲田FW陣を牽引する2年生HO佐藤健次早稲田FW陣を牽引する2年生HO佐藤健次この記事に関連する写真を見る 例年は快晴に恵まれることの多い早慶戦だが、今年は珍しく雨。それでも、秩父宮には1万人を超えるラグビーファンが集まった。

 前半は、慶應大がSO(スタンドオフ)中楠一期(4年)を中心にキックと激しいタックルを仕掛け、プレッシャーを受けた早稲田大は0-10とリードされてしまう。

 しかし後半、早稲田大FW陣が「ワンパック」ひとつの塊(かたまり)となって奮起する。モールを起点に2トライ、さらにスクラムから1トライを奪取。畳みかけるように得点を重ね、19-13で逆転勝利を収めた。

 これにて「早慶戦」の直近の成績は、早稲田大が引き分けを挟んで11連勝。通算成績は早稲田大の72勝7分20敗となった。

 0-10の劣勢で迎えたハーフタイム、早稲田大のコーチ、フィフティーンたちは下を向くことはなかった。ロッカールームで大田尾竜彦監督が「(接点で)もう1回、チャレンジャーとして戦え! 自分たちから仕掛けろ!」とハッパをかける。

 すると、臙脂のジャージーは見事な修正力を見せた。接点の寄りは速くなり、キック合戦でも優勢に進めるようになる。

 勢いに押されて慶應大がペナルティを重ねると、後半は早稲田大がほぼ相手陣でプレーするようになる。FW陣がモールで攻め込むと、慶應大はたまらず反則で止めてLO(ロック)アイザイア・マプスアがシンビン(10分間の一時的退場)に。数的有利となった後半9分と14分には、今季No.8(ナンバーエイト)からHO(フッカー)に転向した佐藤健次(2年)が2トライを挙げた。

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