12連勝中のフランス代表から後半2トライ奪取。ラグビー日本代表は失いかけた自信を少し取り戻せた (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by ©JRFU

CTB中野将伍が反撃のラン

 雨が降りしきるなかで始まった試合は、いきなりNo.8(ナンバーエイト)姫野和樹がピック&ゴーで抜け出し、日本代表に勢いをもたらす。イングランド代表戦で課題となったマイボールスクラムでも、1本目はペナルティを犯してしまったがその後の7本は安定させて、1週間の練習で対応する修正力の高さを見せた。

 平均体重で5キロ上回るフランス代表FW陣は、近場を執拗に攻めてくる。だが、日本代表FW陣も体を張って相手のパワーに対抗した。

「フィジカルの部分は先週の反省点をしっかり出して、プレッシャーをかけることができた。全体的にFWはスクラムにうまく対応できていたし、モールの部分もしっかりできた」(ジョセフHC)

 しかし前半7分、相手WTBダミアン・プノーにトライを許したあとは有効なアタックを重ねることができず、逆に3本のペナルティゴールを重ねられて3-14とリードを許す。日本代表は自分たちからハイパントを蹴って「カオス(崩れた状態)」を作りだそうとしたが、それも相手に対応されて好機は作れなかった。

 36分には相手SHマキシム・ルクに一瞬の隙を突かれ、突破を許してトライを献上。前半を3-21の18点差で折り返すことになる。キャプテンHO(フッカー)坂手淳史は「ソフトモーメントでイージーなトライを取られてしまい、点数が開いてしまった」ことを悔やんだ。

 このまま、ずるずると試合の流れを持っていかれてしまうのか......。そう思われた矢先の後半2分、齋藤のパスに走り込んできた中野がラインブレイク。50メートルほど走りきって、最後はフォローした齋藤が左中間に押さえて10-21と11点差に迫る。

「前半が終わった時に『あの位置が空いている』とコミュニケーションをしていたので、それがトライにつながった。サポートの声も聞こえていましたし、トライしてくれるだろうと思ってパスしました」(中野)

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