12連勝中のフランス代表から後半2トライ奪取。ラグビー日本代表は失いかけた自信を少し取り戻せた (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by ©JRFU

ショートパントにやられた

 さらに追い上げたい日本代表は、後半10分過ぎからSH流大、No.8テビタ・タタフ、WTB松島幸太朗を投入し、テンポアップを図って相手陣でアタックをしかけた。後半23分、ラインアウトのサインプレーからWTBシオサイア・フィフィタがトライを奪ったが、後半も2トライを許して11点差から詰めることができず、17-35でノーサイドを迎えた。

 後半はアタックが増えた一方、反則もひとつしかしないなど規律の意識も高かった。だが、世界の強豪相手に11点差を詰めることができなかった。「チャンスは作れた」(齋藤)が「勝つ流れ」には持っていくことができなかった。

 ボール保持率はフランス代表の59%に対し、日本代表は41%。ボールを持って攻める時間は思ったより増やせなかった。また相手陣22メートル内でのプレータイムも、フランス代表の4分45秒に対して日本代表2分56秒と少なかった。

 後半に奪われた2トライを振り返ると、相手SOマチュー・ジャリベールがショートパントを自らキャッチすることで決定的な好機を作っていた。フランス代表は雨が降ったあとの重馬場のグラウンドでありながら、キックをうまく使ってトライを挙げていた。

 強豪国相手にパスラグビーでプレッシャーをかけつつ、キックも交えながらどうやって相手を崩し、最後にトライを奪えるか──。それが今後の課題だろう。「アタックのところでモメンタムを作ることができる部分もたくさんあったが、最終的にフィニッシュまで持っていくことができなかった」とジョセフHCも反省する。

 ただ、ポジティブな面もある。フランス代表を相手にスクラム、モール、コンタクトのフィジカルでしっかり戦えたこと、攻撃ではアタッキングチームが明確な意志を見せて後半2トライを挙げられたことは、来年のワールドカップにつながる。

「自分たちのやってきたプレーを出せた部分もありました。強みの部分はワールドカップまでに伸ばし、いいゲームがしたい」(坂手主将)

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