オールブラックス、3年ぶりの来日。ラグビー日本代表が国立競技場で迎え撃つ世界のスーパースターたち (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

日本に縁のあるスターも来日

 そのボーデンとオールブラックスの10番を争っているのが、成長著しいリッチー・モウンガ(28歳)だ。身長176cmと決して大柄ではないものの、キックやパスのスキルに長けており、ラインブレイカーとしても評価が高い。

 2016年にスーパーラグビーデビューを果たすとクルセイダーズの10番に定着し、絶対的な司令塔として君臨。2019年はチームの3連覇に貢献して、2020年のスーパーラグビー・アオテアロア(コロナ禍で始まった特別大会)では優勝のみならず得点王にも輝き、最優秀選手賞を獲得した。さらに今年のスーパーラグビー・パシフィックでも優勝にも導くなど、まさしく優勝請負人である。

 オールブラックスでは2018年6月のフランス戦で初キャップを獲得。同年の日本代表戦でも来日し、すばらしいパフォーマンスでSOのポジション争いに名乗りを上げた。2019年ワールドカップには正SOとしてプレーしたがオールブラックスを3連覇に導くことができず、2023年大会ではその悔しさを晴らしたいところだろう。

 私生活では元オールブラックスPR(プロップ)オーウェン・フランクスの妹と結婚して2児の父。SOとしてゲームコントロールも年々長けてきた。日本の地で4年前の対戦より成長した姿を見せてくれそうだ。

 そしてもうひとり、BKではCTBリーコ・イオアネ(25歳)を取り上げたい。サモア代表でも活躍した父エディーは元リコーの選手で、会社(リコー)の名前とお世話になった方の娘(レイコ)の両方にちなんで「リーコ」と名づけたという。身長189cmながらスピードも兼ね備えた若手有望株だ。

 リーコは17歳の若さでニュージーランドのセブンズ代表に選ばれ、瞬く間にスターダムにのし上がった。2016年のリオ五輪にも出場し(日本代表と対戦して負けている)、オリンピック後はオールブラックス史上8番目(当時)の若さとなる19歳239日でデビューを飾った。

 2017年からはオールブラックス のWTBのレギュラーに定着。ワールドラグビーのMVP候補にも選出され、2017年ワールドラグビー最優秀新人賞に輝いた。2019年ワールドカップでは3試合の出場で1トライと不振に終わったが、翌年のスーパーラグビーではアウトサイドCTBに転向して再び輝きを増し、今やオールブラックスに欠かせぬBKのひとりだ。

 リーコは現在、オールブラックスとの契約延長を2023年までにとどめている。来年のワールドカップ後はヨーロッパ、もしくは縁のある日本でプレーする決断を下すかもしれない。

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