今季初の早明戦で輝き放ったワセダ2年生。「日本代表キャップのために」HO転向したデビュー戦で弾けるような笑顔 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

No.8→HOで大成した選手は?

 昨季の早稲田大は、対抗戦では10度目の大学王者に輝いた帝京大に敗れて2位。大学選手権では準々決勝で明治大に敗北を喫し、年越しができずにシーズンを終えた。敗因はフィジカルで、ライバル勢に劣っていたのは明白だった。

 そして今季、大田尾体制2年目を迎えるにあたり、佐藤は自ら「2番で行かせてください!」と指揮官に伝えると、監督もそれを承諾。双方の意見が合致し、今季からHOとしてプレーすることになった。

 あらためてHOに転向した経緯を聞くと、佐藤は「やっぱり僕の(ラグビー選手として)最終的な目標は、日本代表のキャップを取ることです。背丈もないですので、HOは自分に合っているポジションなのかなと思います。器用なHOになって、日本代表という目標に近づけられればいいな」と話した。

 No.8からHOに転向し、日本代表として大成した器用な選手として真っ先に思い浮かべるのは、やはり堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)だろう。

「堀江選手はうまい選手で、しかも強さもある。堀江選手からは吸収する部分がとてもあるのでプレーもよく見ています。目標としている選手は(オールブラックスの若きHO)アサフォ・アウムアです」(佐藤)

 2月中旬から新チームがスタートし、HOとなった佐藤はラインアウトのスローイングや最前列で組むスクラムの練習に精を出してきた。さらに、帝京大のフィジカルに負けないために「春は体を大きくすること」をテーマに掲げ、大学入学時に90kg台だった体重を110kgまで増やした。「まだ動けるので、もう少し増やそうかな」と、さらに体を大きくする予定だという。

 そのHOとしての成長を見る機会が、この「春の早明戦」だった。転向してわずか3カ月あまり。佐藤のプレーは十分に及第点を挙げることのできる内容だったと言えよう。

 大田尾監督は「筋力的なフィジカルレベルも高く、佐藤にはスクラムの要、攻守の要として期待したいなと思っています。今日はその片鱗を見せてくれたんじゃないかな」と高く評価し、キャプテンのNo.8相良昌彦も「本当に短い時間でセットプレーもフィールドプレーも仕上げてきていて、本当に一流の選手だと思います」と佐藤の出来を称えた。

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