ラグビー明治大、逆転されても「こうでなくちゃ」。苦しい時間帯が「得意」と言い切れる理由 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

【FWの奮闘にBKが応えた】

 明治大は後半序盤に逆転されたものの、前半はFWとBKが一丸となったプレーがかみ合い、今季一番とも言える会心の出来だった。守備では外国人FWが3人先発した東海大にタックルで刺し続け、攻撃でもボールを大きく動かし相手を疲れさせて試合を優位に進めた。

 準々決勝の「早明戦」ではPR(プロップ)大賀宗志(3年)を中心としたFWが奮闘した。この東海大戦でも試合のリズムを作ったのは、紫紺のFW陣だった。

 東海大が得意のモールで攻め込むものの、明治大FWはしっかりと相手の塊を止めてトライを許さない。スクラムでもペナルティを獲得するなど、東海大FWに一歩も引かなかった。

 そのFW陣の奮闘に、BK陣もすぐに応える。

 前半12分には、ラインアウトからのサインプレーから大学生で唯一東京五輪に出場したWTB石田吉平(3年)がスピードを活かして中央にトライ。さらに前半25分にも、キックカウンターからボールを動かして再び石田が左隅にトライを決めた。FWとBKが一丸となって掴んだトライと言えるだろう。

 今季の明治大4年生たちは、1年時に大学選手権で優勝を経験したものの、2年時は準優勝、そして3年時はベスト4と、徐々に成績が下がる悔しい思いを抱えてきた。そのため「もう一度、強い明治を作り上げて、優勝して明治のプライドを取り戻す」という意味を込めて、「MEIJI PRIDE」を今季のスローガンに掲げた。

 1月9日に行なわれる決勝の相手は、関東対抗戦で7−14と惜敗した帝京大だ。神鳥監督は決勝に向けて「特別な1週間を過ごすのではなく、今までどおりのルーティンで動いて、選手を送り出していく」と語り、平常心でこれまでの準備を続けていくことを強調した。

 プレーと言葉でチームを引っ張り続けているキャプテンの飯沼は「セービングだったり、ゲインされたら全員で追いかけたり、細かいプレーが勝利を近づける。『勝利の神は細部に宿る』ということが大事です」と語気を強めた。

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