2021.11.04

早稲田の強みは高速BK、課題はスクラム。真っ向勝負で見えた「アカクロ」の現在地

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 残り8分で10−29。万事休すと思われた。だが、そこから"アカクロ軍団"の高速BK(バックス)が本領を発揮した----。

 11月3日に行なわれた関東大学ラグビー対抗戦。開幕から4連勝同士の早稲田大と帝京大が駒沢オリンピック公園陸上競技場で激突した。

果敢にトライを狙う早稲田大のエースFB河瀬諒介果敢にトライを狙う早稲田大のエースFB河瀬諒介 この記事に関連する写真を見る  後半34分、早稲田大のエースFB(フルバック)河瀬諒介(4年)が抜け出し、そのチャンスからWTB(ウィング)槇瑛人(3年)がトライを奪う。さらに38分、今度は河瀬が再び個人技を見せてトライを挙げて、帝京大に7点差と猛追する。

 しかも危険なプレーがあったため、帝京大のひとりがシンビン(10分間の途中退場)となり、早稲田大が数的有利となる。1トライ1ゴールで同点の状況。しかしロスタイム、相手ゴール前まで迫ったものの途中出場のSO(スタンドオフ)伊藤大祐(2年)が足を滑らせてしまい、帝京大にボールを奪取されて追撃もここまで。22−29のままノーサイドを迎えた。

 昨季、大学選手権の決勝で天理大に28−55と大敗して連覇を逃した早稲田大は、今季から元日本代表SOで早稲田OBの大田尾竜彦氏を監督に招聘。早稲田大→ヤマハ発動機(現・静岡ブルーレヴズ)で清宮克幸氏(現・日本ラグビー協会副会長)に薫陶を受けた頭脳派が新たな指揮官となった。

 清宮氏もスタンドから見つめた試合は、3年ぶりに帝京大に敗れる結果となった。大田尾監督は「自分たちの土俵で戦えていなかったことが一番(の敗因)。アタックマインドを持ってこのチームを作り上げ、それを達成するに十分なフィットネス、スキルを持っていたが、それを発揮させられなかった。こちら(コーチ陣)のミス」と唇を噛んだ。

 早稲田大は春からレスリングトレーニングで接点を鍛えたことが功を奏し、夏の練習試合では帝京大に40−24と快勝した。だが、本番の対抗戦では前半からうまくゲームを作ることができなかった。

 風下だった早稲田大は、素早く前に出てくる帝京大のディフェンスに対応するため、自陣からハイパントキックを多用して敵陣に攻める戦術を採った。183cmの河瀬、182cmのWTB松下怜央(3年)といった高身長の選手がいるために有利に戦え、さらには後半勝負のためにコンタクト回数を減らしておこうという狙いもあったかもしれない。