7人制ラグビー女子代表主将はデュアルキャリア「全世界の30代に希望を」 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Hiroyuki Nagaoka/AFLO

「うちは部位ごとにドクターがいるのがウリなんです。女の子がラグビーをする時に障壁となるのは、まずケガです。そこの不安を取り除いてあげたかった。実際、女子がラグビーを続けることって、男子よりもハードルが高いんです。ケガが怖いから、親が心配するから、ラグビーではメシが食べられないとか......そうしたハードルを少しでも下げてあげることが、次の世代のためにできることなかと思っています」

 選手としてプレーし、GMとしてさまざまな仕事をこなし、チームのために奔走する。中村をそこまで駆り立てるものは何なのだろうか。

「ラグビーが好きだからです。ラグビーのよさをわかってもらいたいというとおこがましいですけど、この競技は自分のすべてをさらけ出さないといけないスポーツなんです。そうした教育的価値も伝えていきたいですし、単純にもっとラグビーの価値を上げたいんです。選手はプレーするだけでなく、資格取得や社会経験を積むなど"デュアルキャリア"というのをチームで掲げていますけど、五輪でメダルを獲るのと同じ熱量で追求できるものとして、ナナイロプリズム福岡をひとつのロールモデルにしていきたいですね」

 日本代表は「東京五輪で今度こそメダルを」との思いで、ハードな練習を続けている。ただこのご時世ゆえ、気持ち的にツラくなる時があるという。

「東京五輪が1年延長され、モチベーションを維持するのが難しかったのですが、今は開催についていろんな意見が出るようになって......五輪ありきで物事が進んでしまう状況を見ると、世の中に対して申し訳ないと思う反面、私たちは世界と戦いたいだけなのにと思うことはあります」

 五輪開催をめぐってのさまざまな声に複雑な表情を見せる中村だが、ひとりのラグビープレーヤーとしてリオ五輪で果たせなかったことを実現したいという思いが強い。あの悔しさから5年、メダル獲得の道は見えているのだろうか。

「この1年間、世界大会がストップしたので、一発勝負になる要素が高いと思います。世界との差があると思うけど、チームワークで乗り越え、一番キツい2日目の最後の試合で最高のパフォーマンスを出せたらメダルに届くと思います」

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