2021.05.23

7人制ラグビー女子代表主将はデュアルキャリア「全世界の30代に希望を」

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Hiroyuki Nagaoka/AFLO

 2019年、ラグビーワールドカップが日本で開催された。日本は予選プールでロシア、アイルランド、サモア、スコットランドを破り4戦全勝で準々決勝に進出。

 準々決勝でこの大会で優勝することになる南アフリカに3対26で敗れたが、日本代表の気迫あふれる戦いは大きな盛り上がりを見せ、日本中が熱狂に包まれた。

「すごくうらやましかったですね。リオ五輪で私たちがメダルを獲っていれば、ラグビーブームをもう少し早く持ってこられた可能性もあったと思うんです。でも、できなかった......。日本代表が世界で活躍することが、その競技の価値を上げるための一番の近道であることを示して頂いたので、人生をかけてセブンズをやらないといけないなって思いました」

 日本ラグビーはこのワールドカップでの盛り上がりを国内リーグにつなげ、ラグビー文化は着々と浸透しつつある。この成功には過去の教訓が生かされている。

 2015年にイングランドで開催されたラグビーワールドカップで、日本は強豪・南アフリカを破る「世紀の番狂わせ」を演じ、国内のラグビー熱に火をつけた。だが大会が終わりしばらくすると、その熱をラグビー文化の定着にうまく生かすことができなかった。

「2015年のラグビー人気は一過性のブームに終わってしまいました。その後、日本でのワールドカップの盛り上がりを見て、あらためて思ったのはブームを一過性で終わらせないためには、ラグビーの本質を伝え、勝ち続けないといけない。そのためにも女子ラグビーの価値を高めることがキーワードなのかなと思いました」

 そう語る中村は、女子ラグビーの価値向上のために動いた。2019年12月にクラブチーム「ナナイロプリズム福岡」を立ち上げたのである。

「いま33歳ですが、これからはラグビーにどう恩返ししていくのかを考えました。その答えが日本代表として五輪でメダルを獲得することだったんです。そのためには女子のラグビー選手を増やし、試合に出る機会をつくらないといけない。上を目指していけるような環境が必要だと思い、チームを立ち上げたんです」