2020.01.08

福岡堅樹が東京五輪に挑む使命感「ラグビーの火を消してはならない」

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • ロイター/アフロ●写真 photo by Reuters/AFLO

東京オリンピックで輝け!
最注目のヒーロー&ヒロイン
7人制ラグビー 福岡堅樹 編

 天は二物を与えた。優れた身体能力と明晰な頭脳を。昨年のラグビーワールドカップ(W杯)を沸かした"スピードスター"の福岡堅樹(パナソニック)が今年の夏の東京オリンピックでは7人制ラグビーに挑む。

ラグビーW杯に続き、東京五輪での活躍も期待される福岡堅樹

「本当に運に恵まれている」。ラグビーの神様に愛された27歳は、だからこそ使命感に燃えている。

「オリンピックにチャレンジできるのなら、チャレンジしたい。ラグビーの火を消すことにならないよう、さらに盛り上がるような試合をしたい。今度はメダルを」

 つねに陽のあたる道を歩んできた。2015年、大学生(筑波大)としてW杯イングランド大会に出場すると、16年夏、W杯メンバーではただ一人、リオデジャネイロ五輪・7人制にも日本代表として出場し、4位入賞に貢献した。あの8月。南半球の冬は熱かった。

 リオ五輪では初戦でニュージーランドを破る番狂わせを演じながら、3位決定戦では南アフリカに大敗した。3位と4位の差はとてつもなく大きい。「帰国してから、周りの扱いに差を感じたんです。オリンピックはいかにメダルが大事か」。快速ウイングは、東京ではメダルにこだわると言い切った。

 素材は文句なしだ。50m5秒台の爆発的な加速力は、エディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチ(現イングランドHC)から、特異能力を意味する「Xファクター」と呼ばれた。昨年のラグビーW杯日本大会では、松島幸太朗(サントリー)とともに日本代表の「ダブル・フェラーリ」とも評され、4トライを挙げるなど大活躍、日本代表の史上初のベスト8入りの原動力となった。

 昨年12月の宮崎のパナソニック・ワイルドナイツの合宿中だった。やわらかい冬の陽ざしを受け、半袖姿の福岡は「もう大満足でした」とW杯を振り返った。いつもの爽やかな笑顔で。

「(W杯で)やり残したことはなんにもありません。後悔もないです。自分の納得できるパフォーマンスができたので、ここは一番の(身の)引き時じゃないかと思っています」

 そうは言っても、周りは15人制ラグビーでのランニングにも期待をしている。母校の福岡高校のラグビー部監督だった森重隆・日本ラグビー協会会長も事あるごとに「4年後のワールドカップに出てほしい」と口にしているほどだ。

 福岡はいたずらっぽい笑みを浮かべながら、「それはちょっと、会長の頼みでもきけません」とぴしゃりと言った。