明治大がまさかの展開で大苦戦。主将が明かすスクラムで押された理由 (2ページ目)
この日、バックスの主力、SO(スタンドオフ)の山沢京平に代わり、1年生の齊藤誉哉が入ったことも影響したかもしれない。が、やはり明大はスクラム、ラインアウト、ディフェンスでリズムを作らないと苦しくなる。もっとも、勝って反省できるのは理想だろう。スクラム、プレーの精度、挑みかかる気概...。武井主将はこう、言った。
「この経験が、次につながると思います」
そういえば、ラグビーワールドカップの後、武井主将の母校・国学院栃木高、明大の先輩にあたる日本代表の田村優選手が明大キャンパスでトークイベントを開いた。イベントには練習で出席できなかったが、武井主将は関係者を通し、質問を頼んだそうだ。「大舞台で緊張しないためにはどうすればいいのでしょうか?」と。
武井主将が説明する。
「緊張しないためには、最高の準備、完璧な準備をすることが大事だと話してくださったそうです。高校、大学の先輩がワールドカップで活躍しているというのは、ほんとにいい刺激になりました。その先輩の言葉で、改めて準備の大切さを感じました」
身長170cm、体重97kgの武井は真面目な頑張り屋だ。好きな言葉が「覚悟に勝る決断なし」。誠実、実直、ほかに言葉が見つからない。高校時代はナンバー8だったが、サイズのこともあり、明大に入ってHOに転向した。「覚悟を決めてHOになったんです。スクラム、(ラインアウトの)スローイング、随分、苦労しました」と振り返る。
田中澄憲監督はこう、武井を評する。
「キャプテンになる前からもですが、きっちりやる子なので、普通に自然に成長しているなと思います。とくにセットプレー(スクラム、ラインアウト)のところは、2年生の頃から随分、成長しましたよ」
この日、秩父宮ラグビー場近くの新国立競技場では完成記念イベントが開催された。そこは、大学選手権決勝の舞台となる。その話題を振られると、武井主将は「先を見すぎると足元をすくわれるので、一戦一戦、がんばっていきたい」とまずは1歩先のことを見すえ、言葉に力を込めた。
次の年明け2日(秩父宮)の準決勝の相手は、やはりスクラムに自信を持つ東海大。
「スクラムをもう一回、見直すべきだと思います。チーム全員がひとり一人の役割を確認し、練習で、一日一日、丁寧にやっていくことが大切になります」
今季のチームスローガンは『真価』。重圧をはねのけ、今季も優勝できるのかどうかで明大の真価が問われるということだろう。苦戦を良薬とし、武井主将率いる王者が連覇へ、一歩一歩近づいていく。
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