明大が早大のメンタルを崩す。
伝統の「前へ」で圧倒、全勝Vを決めた

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 25年ぶりの全勝対決は、連覇を目指す「紫紺の軍団」が盤石の強さを見せつけた――。

 今年で95回目を迎えた伝統の一戦「早明戦」。12月1日、関東大学ラグビー対抗戦で明治大対早稲田大が行なわれた。ワールドカップから続くラグビー人気の勢いもあり、チケットは早々に完売。東京・秩父宮ラグビー場には22,987人もの観客が集った。

21年ぶりの全勝で関東対抗戦を制した明治大21年ぶりの全勝で関東対抗戦を制した明治大 戦前の予想は、開幕から他校を圧倒してきた明治大が有利。チームを率いて3年目の田中澄憲監督が「FWにこだわってこその明治」と胸を張るとおり、キャプテンのHO(フッカー)武井日向(4年)やLO(ロック)箸本龍雅(3年)など、明治大は経験豊富なFWを擁している。

 ただ、両者の過去5戦のスコアはすべて10点差以内。下馬評どおりにすんなり決着しないのが、伝統の一戦と言われる所以でもある。

 早稲田大も錚々たるメンツを揃えている。サンウルブズのスコッドにも選出されたキャプテンSH(スクラムハーフ)齋藤直人(4年)、今年9トライと絶好調のSO(スタンドオフ)岸岡智樹(4年)、そしてU20日本代表歴のNo.8(ナンバーエイト)丸尾崇真(3年)。今年は帝京大や慶應義塾大を相手に粘り強く戦い、白星を重ねて無敗を貫いてきた。

「早稲田大はスキルが高く、粘り強いディフェンスなので、前半は我慢比べになる。パニックにならないこと。平常心で戦うことが大事」

 明治大はこのように分析し、田中監督らコーチ陣は早稲田大戦に「クラッシュ・ザ・メンタル」というテーマを掲げた。80分間、攻守にわたって粘り強く戦い、相手をメンタルで圧倒するという狙いだ。

 前半序盤、早稲田大はハーフ団がキックでうまくエリアを奪い、試合を有利に進める。だが、劣勢になっても失点を許さなかった明治大は前半17分、体重を114kgから106kgに絞って肉体改造に成功した箸本がトライを挙げて、7-0と先制した。

 しかし、早稲田大も負けてはいない。すぐさま反撃に転じ、ゴール前スクラムを起点に齋藤からパスを受けた岸岡がトライを決めて、7-7の同点に追いついた。その後、PG(ペナルティゴール)を加えた明治大が前半を10-7で折り返す。

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