南ア戦で日本の勝利はFW次第。姫野和樹「前にいけるか。自分に期待」 (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)では、激しいフィジカルバトルは必至だろう。25歳のNo.8姫野和樹はW杯前の対戦には出場しなかっただけに、準々決勝を楽しみにしている。

「自分がどれだけ、南アフリカのフィジカルに対し、前に出ていけるのか。自分自身に期待しています。チームに期待しています。ワクワクしています」

 またW杯前の対戦では、南アはハイパントを多用し、キックしたボールの再獲得を狙ってきた。ここはバックスリー(両WTB=ウイング、FB=フルバック)のキャッチングの正確さもあろうが、周りのサポートプレーのはやさ、戻りも意識したい。

 日本は1次リーグでは、計13トライ中、うち9本を松島幸太朗(5本)、福岡堅樹(4本)の両WTBがマークした。それも、スクラム、ラインアウト、ブレイクダウンとFWの奮闘があったからだ。南ア戦も、FWの奮闘なくして勝利はない。

 南アのバックスにも強力ランナーが並ぶ。ハーフ団のキック、パス、ランの判断能力も高い。とくに170cmと小柄な"ポケットロケット"ことWTBチェスリン・コルビのスピードは抜群。175cmの"スピードスター"福岡とのマッチアップは見応え十分だろう。

 日本列島が熱狂する中、準々決勝は日曜日、午後7時15分にキックオフされる。この日は奇しくも、日本ラグビーの発展のために貢献した平尾誠二さん(2016年死去、享年53)の命日となる。また台風で被害を受けた人々への特別な思いもあろう。

 3大会連続のW杯出場となるSH(スクラムハーフ)田中史朗は、言葉に実感をこめた。

「"日本のために"という思いはチームみんなが持っている。日本のみなさんに勇気を届けられるよう、からだを張って戦いたいと思います」

 勝っても、もう番狂わせではない。4年前のW杯での歴史的な南ア戦勝利の歓喜をホームで再び、味わえるのか。チームのため、ラグビー界のため、日本のため。日本代表のキーワードは、「ONE TEAM」である。

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