「フェラーリ」松島幸太朗が爆走。日本はグローカル力で勝利を掴んだ (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 リーチもブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)で獅子奮迅の活躍をみせた。25歳の姫野も効果的な突進を繰り返し、両チーム1位のボールキャリー(113m)の数字を残した。地味ながらも、ドレッドヘアを振り回してボールをつなぎまくったHO(フッカー)堀江翔太、スクラムとタックルに徹したPR稲垣啓太のプレーには胸が熱くなった。

 ラピースもまた、「ワンチーム」とうれしそうに漏らした。

「僕らは日本を代表して、ひとつになって同じゴールに向かっていく。たくさんの時間を一緒に過ごし、たくさん練習してきた。ぼくらは"グローカル"なんだ」

 グローカルもまた、チームの合言葉のひとつである。国際的という意味の「グローバル」と地方や地元を表す「ローカル」を合わせた造語なのだった。

 日本は勝利による勝ち点4に加え、4トライ以上を挙げて得られるボーナスポイント1も獲得。勝ち点5を手にした。これは大きい。

 ただ、日本は地元開催の重圧もあってか、前半を中心にミスが続発した。キックオフ、パントキックの処理、重量ある相手が落とし気味に押してきた時のスクラムの対応、ブレイクダウンのサポート、球出しなどで課題がみえた。これでは、次の世界ランキング1位のアイルランドには歯が立たない。

 生きたボールがフォワードから出なければ、松島もトライを奪えない。

 次のアイルランド戦は、28日(静岡・エコパスタジアム)。自国開催のアドバンテージか、相手チームより中日が2日長い。

 リーチ主将は言った。

「今日は緊張でミスがあった。ただ、僕らはいつも、ワンチームで前向きにいく。1週間、しっかり準備して、やるしかないです」

 最後にもう一度、松島。次は何トライとってくれますか? と聞かれると、フッと顔を和らげた。目は笑っていない。

「できる限り、トライを獲れればいいと思います。外側にチャンスはたくさんできると思うので、そこで仕留めきれたらいいなと思います」

 日本代表のフェラーリがさらに加速する。大会初のベスト8以上へ。歴史の扉を押し開く、「ワンチーム」の闘いが始まった。

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