箕内拓郎が日本の熟成度に太鼓判。唯一不安はケガ時の組み合わせだ (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 長尾亜紀●写真 photo by Nagao aki

――不運でしたよね。私も取材していて悔しかったのを覚えています。2007年大会のジャパンは、箕内さんが2003年大会で感じた「ラスト20分」のタフさが増していました。監督がJK(ジョン・カーワン)です。

「2003年大会の向井さん(昭吾)から、萩さん(萩本光威)、エリサルド(ジャン=ピエール)、そしてJKになったんです。JKが監督に就任して大会までは約9カ月、実際の準備期間は半年くらいですね。JKはタックル時に有効な日本人の体格(低さ)と俊敏さを活かしながらチームづくりを進めていました」

――JKジャパンのスローガンは何でしたか。

「武士道です、武士道。JKが武士道の本を読んで感銘を受けて、日本代表に落とし込んだんです。たしか7つの徳目(義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義)があって、選手をグループ分けしてそれぞれについて考えさせて発表しました。ロッカールームとかミーティングルームに紙に書いて貼ってあったな」

――箕内さんのグループの徳目は。

「全然、覚えてないです。12年前ですから」

――ジェイミー・ジョセフ(JJ)ヘッドコーチも「サムライ魂」ですから、オールブラックス出身のヘッドコーチは古来の精神性が好きなのでしょうか。

「日本のチームとしてどこに自分たちの拠り所を置くのか、自分たちは何者なのか、そういうチーム作りのやり方は今も昔も変わらないのかもしれません。特に外国人コーチだからこそ、感じる部分があるのでしょう」

――武士道の効果はどうでしたか。

「7つの徳目にこだわって、自分たちが何かをするということに対して、自分たちで決めて実践していくことになったんです。自分たちで決めたからにはやらなければいけない。僕は非常によかったのかなと思います」

――JKは、チームのプライドを大事にしましたよね。ウェールズ戦の前、相手がメンバーを落として来たら、JKから自筆の手紙をもらいましたよね。<ウェールズは日本をリスペクトしていない。必ず相手をスマッシュし、武士道精神を見せてやれ!>と。

「ありましたね。僕は少し、相手がメンバーを落としてくれてラッキーみたいなものもあったんですが。ま、それが20%、なめられているなというのが80%ですから。JKはよく、日本のプライドと言っていましたが、一番プライドが高かったのはJKですよ、やっぱり。自分のやることに対してプライドをすごく持っていて、それを選手とか、他のスタッフに植え付けようとしていたんです」

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