ラグビー日本代表、格上フィジーを圧倒。「地獄の宮崎合宿」の成果あり (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 前半31分も、ボールを継続するラグビーで加点する。この日が25歳の誕生日だったFL(フランカー)姫野和樹がモールからトライを奪取、スコアを29−7とし、格上フィジーを攻守で圧倒した。

 試合後、ジョセフHCはキックを封印したことについて、こう語る。

「フィジー代表相手にボールをキックして、チャンスを与えたくなかった。一方で、我々はボールキャリーもよかった。ひとりの選手を例に挙げるならば、(FL姫野)和樹は他のプレーヤーのサポートや接点でしっかりと働いていた。これも宮崎の合宿の成果だ」

 そして、もうひとつの勝因はディフェンスだろう。ジェイミー・ジャパンは強豪相手に善戦してはいるものの、ウェールズ代表戦やイングランド代表戦では30失点以上していた。だが、フィジー代表戦では相手を3トライ、21失点に抑えたことが大きい。

 日本代表はフィジー代表と比べ、平均身長で5cm低く、平均体重も5kg以上軽い。そんな相手をどう止めるか、リーチいわく「人生で一番つらかった」地獄の宮崎合宿で練習を重ねた。オフロードパスを出させないように相手の腕をかかえるようにタックルしたり、自陣のゴール前ではふたりがかりで相手の上半身にタックルする「ダブルショルダー」で止める練習も行なった。

 激しいディフェンスによって、自陣のゴール前では相手のノックオンを何度も誘った。また、後半15分の松島のトライの前も、ラファエレの前に出る激しいタックルでチャンスを掴んだものだ。「ディフェンスがよかった。(100点中)85点くらい」。ディフェンスリーダーの中村はそう語る。

 7カ月ぶりの実戦復帰となったキャプテンのリーチに、「チームとして一番成長できた点」について聞くと、後半21分にトライを奪われて34−21となった直後の行動にあったと言う。「どちらに転ぶかわからない状況になった時、リーダー陣が固まってチームの方向性をしっかり決めることができた」。

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