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大黒柱リーチ マイケルが代表に復帰。
不在ゆえのプラス作用もあった (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 リーチは別メニューでリハビリを重ね、5月の「ウルフパック」のオーストラリア遠征メンバーとして復帰すると思われていた。しかし、住まいのある東京・府中から成田空港、成田空港からシドニー、シドニーからキャンベラと、移動で15時間ほど座りっぱなしの状態が続き、恥骨炎を悪化させてしまう。

「骨折はくっつけば治るけど、(恥骨炎は)よくなったり悪くなったりを繰り返すので......」。さすがのリーチも、この時はメンタル的に落ち込んだという。

 ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)も、リーチの心情を察して気遣った。

「リスクを伴いたくなかったので、オーストラリアでの出場は避けました。ワールドカップでプレーすることが第一優先。(日本代表にとって)大事な選手なので、110%安心して試合ができるようになるまで守りたい」

 ジョセフHCはセカンドオピニオンとして専門医を紹介し、リーチは遠征途中にニュージーランドで治療を行なった。その成果もあり、リーチはようやく宮崎合宿の初日、約3カ月ぶりにスパイクを履いて走れるようになった。

 ただ、リーチの不在は、日本代表チームにとって悪いことばかりでもなかったという。

 国内外で6試合行なった「ウルフパック」の目的のひとつに、ジョセフHCは「リーダーシップの育成」を掲げていた。ジョセフHCは就任後から選手たちの自主性を重んじ、現在リーダーシップグループは8人で構成されている。リーチが不在でも、ほかの選手がリーダーシップを発揮し、チームに刺激を与えるようになった。

 ジョセフHCはリーダーシップグループについて、こう語る。

「積極的に働き続けること、信頼関係を構築すること、チームの理念や取り組む姿勢を他の選手に促すこと......。彼らはいい仕事をしてくれています」

 対するリーチも、チームメイトがリーダーとして成長する姿をこう見ていた。

「(リーダーシップの育成は)うまくいっています。僕がキャプテンしなくてもいいくらい(リーダーシップグループが)積極的に動いている。姫野(和樹)、流(大)、松島(幸太朗)、稲垣(啓太)......みんな自分から動いていました」

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