五郎丸歩が語る南ア戦勝利「相手の勝ちたい姿勢が日本に力をくれた」 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 築田純●撮影 photo by Tsukida Jun

――さて、2015年のイングランド大会のことです。真っ先に思い出すシーンは何でしょうか。

「(南アフリカに)勝った瞬間よりも、ホテルに帰って、自分の部屋にいる時、スマホを見るじゃないですか。その時に、世界の反応みたいのが、結構、バンバンあって...。フェイスブックとかユーチューブとかツイッターとかに(ニュースが)上がっていて。なんか、すごいことを起こしたなって、少しずつ実感がわいてきた時ですかね。ピッチにいた時はただ"勝った~"みたいな、ほわっとした感じでしたけど、あとからそういうものってきますよね」

――開幕カードで、優勝候補の南アフリカ代表に34-32で逆転勝ちを収めた日のことですよね。英国ブライトン、日本代表は海沿いのホテルに泊まっていました。どんな喜びだったのでしょうか。

「自分たちの目標というものが、やっぱり、ラグビー界を盛り上げて、2019年ワールドカップにつなげたいというのがあったんです。日本のラグビーの地位をもっと上げて、次の選手たちにバトンタッチしたいというのが強かった。それを超えて、世界に衝撃を与えたわけですから。ブライトンのビーチのパブリックビューイングでも(たくさんの人が)騒いでいる光景を見て、すごくうれしかったですね」

――その試合、語り継がれる場面となった最後のスクラムですが。29-32の場面、ペナルティーをもらって、同点PG(ペナルティゴール)狙いではなく、日本はスクラムを選択しました。逆転のトライ狙いでした。満員(約3万人)の観衆の「ジャパンコール」が会場に響き渡っていました。

「ショット(PG)の選択肢は、僕らにはなかったと思います。バックスもフォワードも。あの時は」

――歴史をつくるためには勝たないといけない、ということですか。

「その言葉が一番正しいと思いますし、やっぱり、ラストまで戦える力というのは4年間でつくり上げてきた自信もありました。とにかく、勝ちにこだわりたかったんです」

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