中村亮土が出色の出来で存在感。サンウルブズでW杯に向け猛アピール (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 3トライに絡んだ中村は、この活躍を「経験が大きかった」と語る。昨年度、サントリーでのプレーが評価されてサンウルブズに加わり、初めてスーパーラグビーを経験した。その時は「怖いもの知らずで、ガムシャラにプレーしていた」という。

 また、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)から「SOもCTBもプレーできる」と注目され、日本代表でも経験を積んだ。昨年11月のニュージーランド代表戦に出場し、さらにイングランド代表戦では先発に抜擢。ラグビーの聖地「トゥイッケナム・スタジアム」ではトライも挙げた。

「高い強度でやってきたので、フィジカルの部分にも慣れて余裕が出てきた。全体を見てプレーできているかな」。中村も自身の成長を実感している。

 中学時代まではサッカー選手だったが、ラグビー好きの父親の影響もあり、鹿児島実業高から競技を始めた。キャプテンを務めた帝京大4年時、エディー・ジョーンズHCに日本代表として呼ばれ、積み上げた代表キャップは現在16を誇る。少しずつ日本代表、サンウルブズでの存在感が増してきた。

 ワラターズ戦が行なわれた東京・秩父宮のスタンドには、日本代表を率いるジョセフHCの姿もあった。サンウルブズの試合、そのひとつひとつがワールドカップに向けた大事なセレクションである。

「ディフェンスをもっとできたかなと思いますし、自分自身満足できるパフォーマンスではないですが、今の自分のベストを出せました。間違いなく(ジョセフHCに)チェックされていると思うので、自分のベストを出し続けることが大事になってくる」

 9月に開幕するラグビーワールドカップまで、あと7カ月。中村は世界の舞台でも戦えることを十分に示すことができた。「競争が激しくなるなかで、一段階さらにレベルアップして、次の相手にも勝ち切れるよう準備していきたい」。中村はサンウルブズの勝利を追いかけつつ、自らの牙を磨いていく。

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