ラグビーW杯日本大会への試金石。NZ対豪州には3つの価値があった

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 夢舞台である。まさにドリームマッチである。

 ラグビーワールドカップ(RWC)の歴史を彩る両雄が、来年のその決勝の舞台となる競技場で激突した。ニュージーランド代表オールブラックス(以下、NZ)とオーストラリア代表ワラビーズ(以下、豪州)。前回2015年RWC決勝戦の再現だった。

迫力満点だったオールブラックスのハカ迫力満点だったオールブラックスのハカ

 10月27日の横浜・日産スタジアムが一瞬静寂に包まれた。雲ひとつない晴れ上がった秋空の下、黒色ジャージの群れが雄叫びをあげる。戦いの前のNZの伝統の儀式「ハカ」。剥いた目で舌を出す。荒ぶる魂の踊りが、4万6千の観衆の心を揺さぶった。

 ニュージーランドをよく知る「世界のサカタ」こと坂田好弘さん(関西ラグビー協会会長)すら興奮気味だった。ラグビー殿堂にも選ばれた76歳。

「世界のラグビーファンが注目するビッグイベントが日本で開催されるなんて...。来年のワールドカップを含め、夢のようなことが起きている。これって一生に一度だよ」

 タスマン海を挟んだ隣国同士の定期戦は100年を超える。2009年以来、2度目となる日本での宿敵対決には、3つの特別な価値があった。まずは、それぞれのプライドをかけた勝負のレベルの高さである。

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