帝京大を追い詰めた松岡修造の甥、
慶應大・辻雄康もハートの熱い男
慶應大が大学ラグビーでV10を狙う王者・帝京大を追い詰めた。しかし、あと一歩のところで勝つことはできなかった......。
10月21日、関東大学ラグビー対抗戦の「慶應大vs帝京大」が東京・秩父宮ラグビー場で行なわれた。慶應大は7-24とリードされて前半を折り返したが、後半に入ると帝京大から2トライを奪取。王者相手に試合を支配する健闘を見せた。
慶慶大の副将を務めるロックの辻雄康 しかしながら、最終的には19-24で敗戦。帝京大の試合巧者ぶりも目立っていたが、慶應大が勝負どころでスクラムやラインアウトなどのセットプレーからボールを失ったことも響いたと言えよう。
3年前、慶應大は帝京大に10-89と、まったく歯が立たなかった。だが、朝から3つの班に分かれてウェイトトレーニングを行なってきたことや、一貫教育を生かし、中学・高校・大学の連携で強化してきたことが徐々に功を奏してきた。2年前は10点差、昨年は3点差、そして今年は5点差と、「紅き王者」に年々迫っている。
この試合でも、先発15人中11人が付属の慶應高の出身者。とくに今年の4年生は、高校3年時に花園に出場したメンバーである。
そのメンバーのなかでも、FWの核としてセットプレーや接点で力強さを見せていたのが、主将SO(スタンドオフ)古田京(ふるた・きょう/4年)とともにチームを引っ張っていた身長190cmの副将LO(ロック)辻雄康(つじ・たかやす/4年)だ。辻は元プロテニスプレーヤーの松岡修造の甥で、高校時代から折り紙つきのポテンシャルを持つことで知られている。
帝京大との試合前、辻は塾歌(校歌)を大声で歌いながら泣いていた。
「この試合で勝てば、自分たちが今までやってきたことを証明することができる。1年生のときに惨敗したけど、このメンバーなら戦える。いい仲間ができて、慶應のプライドを見せたいと思ったら、感極まってしまいました」
この試合にかける思いから流れた出た涙だった。
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