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帝京大を追い詰めた松岡修造の甥、
慶應大・辻雄康もハートの熱い男 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 試合序盤から辻は、ボールを持てば前に出続けた。「他チームのLOには負けたくない。大学のなかで辻が一番いいLOと言われるようにやっていきたい」と語るように、昨年よりボールキャリアとしての力強さは増していた。

 また、相手の外国人選手を相手にしても苦にしていなかった。「慶應ではフィジカルのあるほうなので、少しでもボールを持って前に出れば、チームにとってプラスになる」と、副将として責任感のあるプレーを貫いた。

 というのも、高校時代はボールキャリアとして目立っていた辻だが、大学では外国人選手のいる強豪チームも多く、なかなか思うように前に出ることができなくなっていた。それを克服すべく、辻は大学2年時からグラウンドの近くに住んで食事や栄養面に配慮しつつ、フィジカルトレーニングを重ねる生活を送った。大学4年時からは寮に住むようになり、96kgだった体重は現在107kgに、体脂肪は12%から10%になった。

 また、ラグビーのシステムやFWの役割をより考えるようになったという。さらに副将になってからは、今年の慶應大のスローガンのひとつである『細部にこだわる』を意識し、個人として、チームとして、「何をやったら伸びるのか」と考え、自分と向き合う時間が増えていった。「自分が成長する時間が楽しいと感じるようになりましたし、なかなか伸びない選手や監督に認められない選手の手助けをすることも、喜びに感じるようになりました」。

 帝京大戦は後半に2トライを上げて、5点差まで迫った。残り時間は、ロスタイムを含めれば10分ほど。試合の流れから言えば、慶應大が十分に逆転できる時間だった。しかし後半38分と後半43分、2度あったラインアウトからのチャンスで、相手にボールを奪われてしまう。痛恨のミスだった......。

 コーラー(ラインアウトのサインを出す選手は)LO相部開哉(あいべ・かいと/2年)だったが、辻は副将として後輩をサポートできなかったことを悔やんだ。「秩父宮ラグビー場ということで、コールが通じなかったり、コミュニケーションミスがあったりした。相部にプレッシャーがいきすぎてしまった。僕が先輩として及ばなかった」。

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