W杯へ視界良好。ラグビー日本代表の成長を帰ってきた「ハル」が実感 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 また、ポジション争いという点でも、これが大事な試合になることは自覚していた。ラファエレ ティモシーや中村亮土(りょうと)が前の試合でいいパフォーマンスをしていたことも承知しており、「自分にプレッシャーをかけながらプレーしたい」と、経験豊富な選手らしく静かに闘志を燃やしていた。

 雨の降るなか、日本代表はゲームプラン通りにSO(スタンドオフ)やSH(スクラムハーフ)がキックで展開。合計24回も敵陣に蹴り込み、たとえ相手にボールを渡しても前に出るディフェンスでプレッシャーをかけ続けた。さらに、相手の土俵であるスクラムでも押し込む場面が多々あり、モールでもジョージア代表の攻撃を何度も阻止。終始、試合をコントロールできたことが勝利の要因となった。

 そのようなフィジカルバトルとなった試合で、立川は生き生きと躍動した。2015年のW杯で南アフリカ代表を撃破したときを彷彿させるプレーを見せたのだ。ボールキャリア17回はチーム最多、タックルもトップタイの12回。身体を張ったプレーでチームの勝利に大きく貢献した。

 この6月のテストマッチ3連戦、日本代表は「アタックの戦術=ポジショニング」を少し替えて臨んでいた。FWとBKが一体となった4つのユニット(シェイプ)を、グラウンドの70メートルの幅いっぱいに配置させた「ポッド・アタック」を採用。従来、CTBは左右の端に配置するが、インサイドCTBは大外から数えて3つ目――つまりフィールドの真ん中のユニットに入り、FWと一緒にシェイプを形成するようになっていた。

 その結果、SHから見て浅めの場所に立つインサイドCTBは、自らのラン、横に並んだFWへのパス、そして裏のSOへのパスを状況によって選択できるようなる。また、CTBがFWの替わりとしてプレーすることにより、大外に立つFWの数を従来のひとりからふたりに増やせ、相手とのミスマッチを狙う効果もあった。このジョージア代表戦ではFL(フランカー)リーチ マイケル、No.8(ナンバーエイト)アマナキ・レレィ・マフィ、そしてWTB(ウイング)の3人が外に並び、相手の脅威になっていた。

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