ヤマハ悲願の初優勝へ。五郎丸歩は「新ルーティン」なしのスタート (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 清宮監督の言っていた化学反応が見えたのは、前半0−7でリードされて折り返した後半7分。まずは五郎丸が質の高いハイパントキックで攻撃の起点を作る。そのボールをWTB(ウィング)伊東力が競り合い、こぼれ球に日本代表HO(フッカー)日野剛志が素早く反応して好機を迎えた。最後は伊東がスピードを活かして中央にトライ。五郎丸のハイパントキックは簡単なプレーにも見えるが、WTBとコミュニケーションを取ったうえで蹴られた質の高いものだった。

 さらに後半22分にも、五郎丸効果が得点につながっている。WTBゲラード・ファンデンヒーファーが力強いランでゴールをこじ開け、最後はグラウンディングでトライ。このプレーも今シーズンからFBに五郎丸が戻ってきたため、昨シーズンFBだったファンデンヒーファーがWTBのポジションで優位性を活かし、その体格を活かしてトライに持ち込んだものだった。

 開幕戦で五郎丸がトライを挙げたり、決定的なパスを見せたりという派手なプレーはなかった。だが、五郎丸の存在がチームにいい影響をもたらしていることは間違いない。

 五郎丸の代名詞である肝心のプレースキックも、ふたつのトライ後のゴールはあっさりと成功させている。だが、本人が「誰でも入るところ」と言うように簡単な角度からのキックだったため、多くのラグビーファンが期待していた「新ルーティン」のお披露目はなかった。

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