【ラグビー】今泉清氏の提言「エディーの遺産を共有してほしい」 (3ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu  photo by Kyodo news

――確かにエディーさんの準備力はちゃんと言語化されていません。

今泉 試合の1年半前に南アフリカと戦うと決まって、ぶちあげたのが“Beat the Bok’s”(南アを倒せ)ですよね。日本のほとんどの人々が最初は『南アに勝てるわけがない』と思ったでしょう。「日本代表のHCだから、それくらい目標を掲げなきゃカッコ悪いですよね」と。

 それが「ひょっとしたら勝てるかもしれない」、「勝てそうだ」、「絶対、勝てる」に変わっていくわけです。それはBeat the Bok'sと言葉にして口に出すことでその気になるんです。つまり勝てそうな気がしてくる。これが準備力です。スケジュールの賜物ですよ。  

 その都度、成長に合わせて試金石のように試合を入れていった。結果が出なかったら、途中で軌道修正していたでしょう。何を捨てて、何に特化するのか。要は選択と集中を繰り返していたわけです。

――そういえば、エディーさんは最後の記者会見で、大学中心の日本ラグビーの現状に危機感を示し、根底を改革しなければ、2019年W杯大会でのベスト8入りは不可能と言いました。エリート育成と一貫指導体制を作れとハッパをかけました。

今泉 (パナソニック監督の)ロビー・ディーンズも似たようなことを言っていますよ。今回、スーパーラグビーで日本に来たライオンズには、20歳ぐらいの選手が何人もいたでしょ。日本はどうです? 向こうでは明らかにスーパーラグビーが代表強化の登竜門になっているんですよ。代表として、新しいディフェンスシステムや攻撃の仕組みをやろうとする時、このスーパーラグビーで試験的にやっていくんです。サンウルブズの試合を見て思ったのは、まだ“慣れていない”ということです。

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