2016.02.29

【ラグビー】サンウルブズ黒星発進も、決死のタックルに未来が見えた

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 日本ラグビー史にとって、記念すべき一日である。世界最高峰リーグのスーパーラグビー(SR)に日本から初参戦したサンウルブズの開幕戦。試合中、右目の上を4㎝縫合した37歳のロック、「キンちゃん」こと大野均がしみじみと漏らした。

「新しい歴史の1行目です。出血しても、脳しんとうになっても、恥ずかしくない試合をしたかった。痛かった、でも楽しかった」

 2月27日のサンウルブズ対ライオンズ(南アフリカ)。快晴下の東京・秩父宮ラグビー場には約2万人のファンが詰めかけた。スタンドは期待感に満ちていた。そのファンが総立ちになったのが、後半18分だった。

サンウルブスの記念すべき初トライは、キャプテン堀江翔太

 相手のラインアウトのボールを奪取し、赤いジャージのサンウルブズが連続攻撃を仕掛ける。右に左に揺さぶり、8つのラックを連取する。いいテンポ、いいタイミングの球出し。最後はスクラムハーフ日和佐篤がラックの左サイドに持ち出し、主将のフッカー堀江翔太がゴールラインぎりぎりに躍り込んだ。歴史的なサンウルブズの初トライ。

 スタンドでは、ファンの赤いタオルの群れが激しく揺れた。歓喜の爆発。ゴールも決まり、6点差に詰め寄った。試合後にトライの感想を聞かれると、堀江主将はふっと表情を緩めた。

「ラッキーやったなと思います。チームで動いて、チームでゲインを切って、ボールが僕のところに来ただけです」