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日本男子卓球のエース・張本智和が語るシングルスでのメダルへの思い ロス五輪に向けては「日本にいても強くなれる」 (2ページ目)

  • 高樹ミナ●文 text by Takagi Mina

 パリ五輪の日本代表選手は自動的に世界選手権の出場権を得ていたため、張本はパリ五輪後も高いモチベーションを維持してきた。その証拠に、昨年10月のアジア選手権アスタナ大会でシングルス優勝。決勝では世界ランキング1位の林詩棟(中国/リン・シドン)をゲームカウント3―1で破り、日本に50年ぶりの金メダルをもたらした。本人の言葉どおり、まさに「ノンストップ」で走り続けてきたのだ。

【「ロス五輪まで海外リーグに出るつもりはない」】

 そんなハイペースな日々も、世界選手権でようやくひと区切り。今の張本は「気持ちを重く持ちすぎず、目の前の試合を1戦1戦シンプルに全力でプレーしていこうという感じです」と語る。2028年ロサンゼルス五輪に関しては、日本代表選手の選考基準がまだ固まっておらず、話題にするのは時期尚早かもしれない。ただ張本が今後、どのように競技力向上を図っていくのかは誰もが注目するところだ。

 例えば、戸上は昨シーズンから欧州最高峰の卓球プロリーグ、ドイツ・ブンデスリーガで力をつけ、世界選手権ドーハ大会でシングルス8強入り。ダブルスは篠塚大登(愛知工業大学)とのペアで日本勢64年ぶりの金メダルに輝いた。その篠塚も、この夏からブンデスリーガに参戦し、研鑽を積む。戸上も引き続きドイツを拠点に強化に取り組むなど、パリ五輪で共に戦ったメンバーが海外で揉まれる一方、張本の選択は違う。

「今のところ、ロス五輪まで海外リーグに出るつもりはまったくないです。行くとしたら中国超級リーグだけですね。日本にいても強くなれると思っています。実際、アジア選手権で優勝したり、パリ五輪も海外リーグに行ってないから負けたとは思ってません。仲間たちがドイツへ行っても、みんなそれぞれ自分が選んだ場所で強くなるだけ。その中で僕は、日本が一番いいと思っています」

 言わずと知れた世界最高峰の中国超級リーグは、中国のトップ選手たちがしのぎを削る場。海外の選手がスポット参戦するケースもあり、今年6月には妹の張本美和(木下グループ)も父・宇さんの出身地である四川省のチームからエントリーしたが、兄・智和は「このタイミング的に可能性はあったけど、今回は見送った」と言う。

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