アイスホッケー"スマイルジャパン"をミラノ・コルティナ五輪に導いた新星・輪島夢叶が語る原点「苫小牧ではアイスホッケーかフィギュアの二択」 (2ページ目)
【「代表組、反則多くない?」(笑)】
――苫小牧はアイスホッケーが盛んな場所で、それが輪島選手にとっての運命だったようにも思えます。
「自分がこうしてアイスホッケー選手になれたのは、苫小牧に生まれたのが大きいと思います。同じ高校のアイスホッケー部一期生の同期からは、オリンピック出場を決めた試合のあとに『おめでとう』って祝福してもらいました。(地元・苫小牧の)「nepiaアイスアリーナ」で、オリンピック最終予選をやると決まった時は、気合の入りようが全然違いましたね」
――右手首の手術痕も見せてもらいましたが、コンタクトスポーツだけに激しいな、という印象です。
「ボードに挟まれた時は痛いですが......基本的に女子はボディチェックは禁止なんですけど、世界に出るとそうも言ってられず"どこまでいいの?"って思います(笑)。世界ではファウルでなくても、日本人同士の試合だとファウルをとられることもあるので、代表組は日本リーグに戻ると反則をとられることが多いですね。世界選手権後は特に『代表組、反則多くない?』って言われました(笑)」
――将来的に、プロ契約を結んで女子アイスホッケーの第一人者に、という目標もあるのでしょうか?
「国内にプロ契約の選手はいないと思いますし、私自身、今はまだプロと胸を張って言える実力は備わっていないと思っています。予選では活躍できましたけど、それで終わる選手にもなりたくない。オリンピックに出場して、そこで結果を残すのが、まずは一番かなって」
――最後に体力の要るアイスホッケーならでは、勝負飯はありますか?
「天丼です!試合前でも、いつでも大好き。天ぷらは、えび、カボチャ......、でもサツマイモが一番ですかね。ただ単純に天丼が好きなのかもしれません(笑)」
【Profile】輪島夢叶(わじま・ゆめか)
2002年10月19日生まれ。道路建設ペリグリン所属。北海道・苫小牧市出身。ポジションはフォワード。スティックはライト。
家族の影響でアイスホッケーを始め、2017年にはU18世界選手権 (チェコ)にチーム最年少で代表に選出された。駒大付属苫小牧高では、女子ホッケー部の一期生としてプレー。道路建設ペリグリン入団後の2022年から代表のトップディビジョンに選出され、今年2月、地元・苫小牧で行なわれた、ミラノ・コルティナ五輪出場権を争う世界最終予選グループGでは大会得点王(3戦5得点)の活躍。五輪出場権の獲得に大きく貢献した。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
【写真11枚】スマイルジャパンの新星・輪島夢叶
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