【あの人は今】スカッシュ松井千夏は47歳の現役選手「4年後のロサンゼルス五輪に出るためには...」 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【オリンピックの正式競技になった影響】

── 松井選手は今、福岡・北九州市のスペースワールド駅近くに昨年オープンした施設「THE SQUASH(ザ スカッシュ)」で指導・普及活動をしながら選手を続けています。スカッシュがオリンピックの正式競技になった影響を地元でも感じますか?

「福岡市にはいくつかスカッシュコートがありますが、北九州市にはなく、スカッシュを知らない方がたくさんいました。新しくコートができたことによって、スカッシュを広めるチャンスがあると思っています。今回、オリンピックの正式競技になった影響で『ここでもスカッシュができるんだ!』という認知につながるので、とってもやりがいがあると思っています」

当時28歳で絶頂期を迎えていた頃の松井千夏 photo by AFLO当時28歳で絶頂期を迎えていた頃の松井千夏 photo by AFLO── スカッシュはマイナースポーツであるがゆえに、普及の難しさもありますか?

「そうですね。これまでスカッシュコートはスポーツクラブにしかなくて、時代とともにコート数も減って、ヨガスタジオや卓球スペースに代わったりしていました。ただ、今はスカッシュの専門施設を建設する流れが生まれてきたので、そこに集まってくるスカッシュをやりたい人は団結力があって、心からスカッシュを楽しんでくださっていると感じています」

── あらためてスカッシュの魅力は?

「スカッシュは暑さや雨といった天候に左右されることなくプレーできるし、年齢や性別も関係なく楽しめるので、日本に合っているスポーツだと思います。競技としての魅力は、スピーディーで、頭も体も同時に使うところ。30年近くプレーしてきて、今も熱くなれる瞬間がたくさんあります。うれしさや悔しさなどの感情を瞬間、瞬間で味わえるところが、すごく魅力的だと思います」

(後編につづく)

◆松井千夏・後編>>「美人アスリートと言われるのは、正直ちょっと嫌でした」
◆スカッシュ松井千夏「今昔」フォトギャラリー>>


【profile】
松井千夏(まつい・ちなつ)
1977年8月8日生まれ、神奈川県川崎市生まれ。中学時代はバレーボールで神奈川県選抜に選出され、バレーボールの名門・松蔭高校に進学。体育教師を目指して日本体育大学に進学した際、スカッシュと出会う。全日本学生選手権で団体・個人でタイトルを獲得し、卒業後は全日本スカッシュ選手権で優勝4度(2001年・2004年・2007年・2008年)。現在も現役を続けながらスカッシュの普及活動に尽力している。身長159cm。

著者プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る